X お寺についての一般常識
1 寺院について
寺院とはそこに居住する僧が、自分の研修や布教のための修行場、儀式場として用いる建物を意味している・最近ではそれに附帯して養老院、幼椎園、保育園、学校などが設けられ経営管理しているところもある0かつて原始仏教時代には、僧の伽藍というところからサソガラーマと呼ばれ、これが現在、伽藍と呼はれるようになった。
寺とは、中国の漠の時代に外国の主賓を泊める官庁をさし、それがしだいに僧侶の住居というようになったものである。
院とは回廊や垣根をめぐらした園という意味で、のちには寺を総合とし、院を寺中の別舎とし、これらを総称して寺院と呼ぶようになったものである・
寺には山号がついているが、そもそも中国では寺院が山のなかに建てられたことに由来している。その所在地の山の名前がつけられたわけで、そののち平地に建てられた寺院でも山号をつけるようになった。寺院で山号、院号、寺号をもつところがある0たとえば金竜山伝法院浅草寺というぐあいである。
ぉ寺は活動目的によって三つに大別することができる・;は菩提寺、三は祈願寺、;は修行寺である。
菩提寺とは、檀家を持ち葬儀や法事を行い、墓地なども有してそれを管理する寺院である・
日本の仏教が葬萎仏教といわれるのも、葬祭を中心として活動する寺院が圧倒的なためである.
祈願寺とは商売繁盛、病気回復、変通安全など現世利益を授ける寺院で、天台、真言系、特に密教系寺院に多い.
修行寺とは自己研修の道場で、一般俗人の出入りをあまり許さず、公開しないのを原則としている.
宗派とは何か
第一部 生活の中の仏教
日本の仏教の現状をみると、多くの寺院があり、その中にはそれぞれ宗派があり、同じ仏教でありながら教義に教妙な差がある。そのために仏教が分裂し、何か教義上の争いを繰り返し、勢力を競い合っているような観がある。多くの宗派がある故に、日本の仏教の現状をそのように理解している人が多いが、それはあくまでも皮相的な見方である。
宗派というものは、ある側面からみると学派とみて良いのであって、その教祖たるものが自分のイズムを確立すべく教団を打ち立てたものである。
その最初は平安時代にあり、日本天台宗を立てた最澄である。ついで空海の真言宗が開かれ、以後鎌倉時代に入って法然が浄土宗、親鸞が浄土真宗、道元が曹洞宗、栄西が臨済宗、日蓮が日蓮宗、一遍が時宗をうちたてる。これが現在の宗派の根幹をなし、これらがわかれて現在多くの宗派が存在するのである。
あるときは確かに勢力上の争いや、教義上の論争などがあって、武力を行使した戦いも行われているが、根本的には宗派というものは学派とみるのが至当である。
なお寺院には寺格というものがあって、その歴史や歴代の住職などにょって培われたものが寺の位置づけをしているが、もっとも格式の高いものが門跡寺院である0平安時代から皇族が出家して住んだのがこの寺の名称で、門跡寺院の中でも官門跡、摂家門跡、准門跡の三番にわ朗かれ、宮門跡とは親王および王の法統をついだ寺院で親王門跡と称することもある
摂家門跡とは五摂家、すなわち近衛、九條、二條、一條、鷹司の五家の子孫が入室・継承した寺院のことである。また准門跡とは門跡に準ずる寺院で、いずれも真宗の本山で世襲である。
ちなみに宮門跡は日光輸王寺、京都仁和寺、京都妙法院、京都聖護院、京都実相院、京都大覚寺、京都三法院、京都随心院、京都青蓮院、京都知慮院、京都勧修寺、京都三千院、京都蔓殊殊院、京都毘沙門堂、大洋の十五力寺と、いまは絶えてしまったが天台宗の賠高院、法相系の一乗院の十七力寺といわれている。
2 僧侶になるためには
僧侶になりたいと希望する者は、まず菩提寺の住職なり自分が尊敬する僧を頼って弟子入りすることが先決である。
それが許可されたら、得度という師僧から度牒を受け、その寺が宗派に属しているなら、僧籍の登録をして公認されるのである。ただ度牒を受けたからといって、すぐに僧侶の活動ができるわけではない。師僧のもとで勉強するか、宗門大学などで研修するとか、加行を行って自己研讃につとめ、はじめて一人前の僧侶となれるのである.
近世は寺院住職の子弟が僧侶となり、世襲のような形をとっているが、外見上世襲と見えていても親が師僧となり、子が弟子入りするということには変わりない.
尼僧になる場合も男性と同じ過程を踏むが、女性は原則として仏門に入ってからは家庭を持つことは許されていない。古くは有髪も禁じられていた。しかし現在では有髪や家庭をもつことを認めているところもある。
第一部 生活の中の仏教
3 僧侶の呼称
僧侶をわが国では、その属する宗派や地位によっていろいろな名称で呼んでいる.
和尚、和上、この場合は人びとに接して教えを説く僧侶のことである。.和尚はオショウ、カショウとも呼ぶ.
院主、庵主は寺院の代表者であることを意味している。法主、門主、管主、化主、これは一門の宗派の代表者のことである。
住持、方丈は寺院に住む僧侶のことである・
坊主は大寺院の僧坊で監督する僧のこと、本来は坊名主であるから尊い呼び名であったが、〆最近は僧侶を軽く呼ぷ名称として用いられることが多い・
上人、聖人は学徳兼備の名僧のことをいう・
禅師は禅の修行を積んだ高僧のことをいう・
国師は一国の天主の指南役として仰がれる僧侶のことをいう0
大師は朝廷より賜わる敬称のことである。
入道は貴人武人であらたに仏門に入った僧侶のことをいう
新発意とは俗人からあらたに仏門に入った僧侶のことである
小僧は僧衣をまとった子どものことをいう・
4 寺院の役割
寺院はかつて地域社会の戸籍をあずかり檀家制度を確立させ、単に仏事だけではなく、教育、文化、医療の中心的存在であった¢特に日本の教育の初歩的制度を確立した役割は軽視できない。寺院を中心として現在の学校教育がなされていたのであり、寺子屋がそうであった・
ーさ 徳川幕府が外敵からわが国を守り、国内を統一する必要上、覚永十六年(一六三九)に鎖国令をしき宗旨人別帳を作り、各人が所属する宗流や寺院を決め、現在の戸籍勝本に匹敵する寺論証文を発行させたのが檀家制度のはじまりである。こうみてくると、近世の日本の歴史は寺院とまことに深いかかわりをもっている。